こんにちは。最近は週1ペースなんですが許してやってください(汗)。
今日はやっぱり Cubase 7 について触れないわけにはいかないでしょう。今までは2年に1回、3月下旬の更新だったわけですが、Steinberg に YAMAHA の資本が入ってから、日本市場を意識したのでしょう。年に1回マイナーアップデートして、日本のクリスマス商戦に合わせてメジャーアップグレードをぶつけてきたわけですね。そんなわけで、今日は Cubase 7 について思うところを書いてみたいと思います。
■Cubase 7
http://japan.steinberg.net/jp/products/cubase/new_features.html
まず、Cubase は通常版の Cubase 7 と簡易版の Cubase 7 Artist に分かれます。今回 Cubase 7 の方はパッケージに黒が採用されてかっこよくなりました。一瞬、同社の Nuendo(ヌエンド)と合体したのかと思ったのですが、そうではないみたいですね。
実は Cubase 7 のアナウンスに埋もれて影の薄い存在である Nuendoも来年の2月に Nuendo 6 へとアップグレードされるんですね。この両者の違いですが、Cubase 7 が音楽制作を目的とした DAW(Desktop Audio Workstation) であるのに対して Nuendo は「ポストプロダクション用」と言われています。
ポストプロダクションとは、プロダクションの「ポスト(後)」と言うことですから、既に完成した素材に対して何らかの操作を加えていく作業のことを意味します。具体的には映画や CM なんかの編集作業・特殊効果の挿入・音場補正などの作業を指します。ですから Nuendo は MIDI よりも Audio 素材への編集環境が充実しています(サラウンドとか)。ま、普通に音楽を作りたい場合は Cubase を選択するのが正解でしょう。値段もぜんぜん違いますしね(笑)。興味があればこちらから。
■Nuendo 6
http://www.steinberg.net/de/products/nuendo/start.html
Cubase 7 一番の売りは「コードトラック」機能
コードトラックについては本家 Steinberg ホームページをはじめさまざまなサイトで取り扱っている題材ですので、ちょっと違った角度から紹介してみたいと思います。
まず、コードトラック機能とは画像のように「コードを並べて書けるトラックが作れるようになりました」って機能です。sus4 とかオンコードとか複雑なコードもちゃんと書けるんですが、ちっとも驚きませんよね(笑)。しかし、このコードトラックを作成しておくと、音楽制作の中で色々と連携機能が働いて役に立つのです。あ、ひとつ言っておくとコードが分からない方のために、実際の MIDI トラックからコードトラックを作成したり、外部キーボードで鍵盤を弾いて作成することもできます。
確かに曲作りの最初でコードをきちんと決めておけば、それをマスターとしてさまざまなパートでコリジョン(和音の衝突)を避けることができます。作曲や編曲をされる方なら分かると思うのですが、それぞれのパートは、そのパートが音楽的であるかどうかを優先して作るはずです。つまり主旋律を意識してそれに合う音楽的な副旋律を作っていくわけです。
しかし、それぞれのパートが満足のいくメロディアスな旋律になったとしても全体で流したときに別のパートと一部ぶつかっていたりすることがよくあるんですね。ま、その偶然のぶつかりがゾクゾクするほど魅力的であったりすることもあるんですが、たいては直します(笑)。コードトラックはそのコリジョンをあらかじめ避けたりボタン1つで修正できたりする機能を提供するのです。
次に関連機能でうれしいなと思うのが「コードアシスタント」機能。
これはいくつかの条件を指定でき、その条件に当てはまるコード進行をリスト表示してくれる機能。これっていっつもおんなじようなコード進行ばっかり浮かんでくる(私のような)にわか作曲家にはうってつけのお助け機能じゃなかろうかと思うわけです。
そして、私が一番楽しみにしているのが VariAudio 2.0 とのコラボレーションの実力。VariAudio は Cubase 7 からハーモニーの編集が可能になりました。つまり和音を扱えるようになったわけです。そして、コードトラックを入力しておくと、それに合わせたハモリを自動生成してくれるみたいなんですね。
で、これだけの機能なら素人さんは喜ぶんですが、実際にハモリを作ったことがある人ならこれじゃ使えないことはイメージできると思います。だって機械的で不自然なのができるもん(笑)。その要因の1つが12平均律に基づいた固定的なピッチの自動生成です。和音と言うものは多少ずれていた方が綺麗に聴こえるのです。
例えばCコード(ドミソ)なら、ドがベース音。これに対してミは少し低めに、ソは少し高めに取るのが綺麗なんですね。12平均律から純音階に近づけると言うことです。しかし、この純音階をガッチガチに守ると、それはそれでまたおかしな響きに聴こえるんです。音楽って難しいですね。
そこに登場するのが今回の新機能 Hermode です! Steinberg の説明を丸々パクると(笑)、「MIDI ノート情報に対して 3/5/7 度のピッチをリアルタイムに微調整することで、平均律との互換性を最大限に保ったまま、より純正律に近い響きを得られる技術です」だそうです(笑)。これと組み合わせることでより自然な響きのハモリが自動的に生成できはしないかと期待しているのです。って、これ楽器にしか適用できないのかな?(滝汗;)
■音色も増えました
付属の HALion Sonic SE には Hybrid ライブラリーとして追加で 300 音色。Groove Agent ONE ドラムキットに 30 音色、 MIDI ドラムループパターンは 150 種類追加されているようですね。ちなみに Groove Agent ONE はあんまり音は良くありません(笑)。あくまでグルーヴ素材です。そして Sequel のループ素材も 2000 種類も追加されているんですねぇ。こういうのは聴くだけでインスピレーションが刺激されるんですよね。いいもんです。
■その他、うれしい機能追加も!
個人的に一番うれしかったのが「Voxengo CurveEQ」の搭載。Cubase ユーザの皆さん、お待たせしました。やっとパラメトリック・イコライザの標準搭載です。他の DAW を見て「あ~、動くイコライザかっこいいなぁ~」と思っていたアナタ! ついに標準搭載です。しかも iZotope にあるような結構な高機能を搭載してるんですよ。
■Cubase 7 は買いか?
Cubase 7 には Cubase 6.5 に新たに付属した音源・機能は全て搭載しています。つまり現時点で Cubase 6.5 を買う意味はなくなったわけです。次に Cubase 7 と Cubase 7 Artist についてですが、Cubase 7 のみに搭載される代表的な機能は VariAudio 2.0, コードアシスタント, Voxengo CurveEQ あたりですね。Steinberg のホームページに機能比較表が近日公開されるようですから詳しくはそちらをご覧ください。
アップデート派の人は価格表に差額が提示されています。個人的には Cubase 6.5 はパスして正解だったと思います。ですから Cubase 6 の方は Cubase 7 へアップグレードした方がいいように思いますし、Cubase 6.5 の方は来年の 7.5 まで待ってもいいかもしれないですね。動作も安定するでしょうし。特段欲しい機能がない限り、Cubase は2年に1回の更新で良いのではないでしょうか。
http://steinbergverup.yamaha.co.jp/product/cubase7.html
新規購入検討派の人は、Cubase 7 と Artist で2万円の価格差があります(Amazon 調べ)。う~ん、個人的にはボーカル素材を扱う方なら Cubase 7 をお勧めしたいですかね。そうでない方は Artist でも十分遊べそうですよ。音源や音質的な違いはないようですし。
Cubase 7 | 59,800 |
Cubase 7 Artist | 39,800 |
アップデートしたらまた詳細をお伝えしたいと思います。本日はファーストインプレッションでした!
2012/12/5 世界同時発売です!