VariAudio シリーズ、今日が最終回です。いや~、長かったですね。恥ずかしい歌声ともこれでサヨナラです(笑)。
さて、前回まででまだ1つ紹介しきれていなかった機能があります。「アンカー」と呼ばれる機能です。下の VariAudio の画像を見てください。このセグメントは1つの音を表していますが前半の音程が低いですよね。後半は戻せていますがセグメント全体として苦しそうに聴こえてしまいます。
これを直すために前半だけを修正したいのですが、セグメントを2つに分割した場合、そのセグメント単位で音程をズラすことになりますので後半のセグメントととの繋がりがよくありません。2つ目の画像のように音の出だしの傾きは修正されませんし、つながり部分はやや落ち込んでしまっています。
正しく修正するためには音程の正しい中央付近を支点にして前半の出だし部分を持ち上げたいです。そのためには、まず、「ピッチ&ワープ」モードでマウスカーソルをセグメントに近づけます。そして、セグメント上部にアンカーバーが表示されたら、支点を置きたい箇所でクリックします。すると、このように細い縦線が置かれます。この縦線を「アンカー」と呼びます。
その状態でセグメントの左端上部に現れる黒い上下矢印を縦にドラッグしてみてください。支点を中心にして前半だけが持ち上がったり下がったりするのが分かります。もちろん右端上部の矢印を上下にドラッグすれば後半側を操作できます。どうです?便利でしょ!
画像は明らかにやりすぎなので(笑)適正な位置まで補正してください。大体こんな感じでしょうか。先ほどのセグメントを分割する方法より自然に補正できていますよね。このようなアンカーを用いた補正が出来るのも VariAudio の優れた操作感であると言えます。このようなシーンは多いと思いますので、是非、使ってみてください。
さて、それでは最後に VariAudio によってどれだけ変わったか、補正前と補正後を聴き比べてみましょうか。1つ目が補正前、2つ目が補正後ですって言わなくても分かりますよね(笑)。
■VariAudio 補正の極意!
シリーズ最後に、VariAudio に限らずヴォーカル補正ソフトを使って補正する際の極意をご紹介したいと思います。何だと思います? それは、、、
VariAudio(補正ソフト)をなるべく使わないこと。
バカだと思いました(笑)? でもホントだと思います。
まず、技術的な観点から言えば、ソフトで補正すればするほど音質が劣化します。非破壊編集とは言え、それは最後の編集状態になるまでの過程で取り消しなどによって操作を戻したりしてもその分は劣化しませんよ、ってことであって加工で劣化するのは当然です。試しに何かのセグメントを全く離れた音程に修正するとか思いっきり引き伸ばすとかしてみてください。確実に劣化しますから。ですから極力触らない方がいいんですね。
でも、やっぱり聴いておかしい部分はあるから、ごく小さな音質劣化と引き換えであればメリットが大きいのでやるわけであって、ミックスで劣化が聴き取れるほど補正するべきではありません。「修正」ではなく「補正」していると認識し、あくまで味付け程度に利用する、この気持ちが極意です。
次に、人間的な観点から言えば、VariAudio を使って音質補正することを前提に歌った歌は死んでいます。特に VariAudio を知りたての人などはその補正精度に驚き、これなら自分の歌も人前に出せるレベルになると安易に迎合しがちです。しかし、そのような希薄な態度で歌った歌は必ず何らかの形で聴き手に違和感を与えるものです。
補正をする前に録り直しできないか考えましょう。ダメと思う部分を聴いてそこを練習してから再度録り直してみましょう。昨今のドライな世の中において古臭い考えかも知れませんが、音楽ってそういうもんじゃないんですか。すいません、生意気言いました(汗)。でもこれって、私の中では極意だな(笑)。
と言うことで、VariAudio シリーズはこれでひとまず終わりにして、次回から音源紹介などしていけたらいいなと思います。それでは!